こんにちは、「はれのひ」の朝穂です。
今日は多くのトレーニーが気にしている「プロテイン摂取」について、あまり語られない側面をお話ししたいと思います。
ジムに通う人やトレーニングを始めた人がまず手にするのが「プロテイン」。
トレーニング後のシェイカーは今や定番の光景です。
しかし、プロテインについて多くの誤解があるのも事実。特に「飲めば飲むほど筋肉がつく」という考えは要注意です。
プロテイン神話 「多ければ多いほど良い」は本当か?
SNSやフィットネス業界では
「ハイプロテイン」
「タンパク質をとにかく摂ろう」
というメッセージがあふれています。
確かにタンパク質は筋肉の材料として重要ですが、その摂取量には「適量」が存在します。
2018年のモートン博士らによる研究では
1日あたり体重1kgにつき1.6〜2.2gのタンパク質摂取で筋肉増加の効果はほぼ最大化し
それ以上摂取しても追加効果はほとんど見られませんでした。
つまり、体重60kgの人なら1日96〜132gが目安となります。
これを超える量を摂取しても、筋肉合成には寄与せず、単にカロリー摂取や体への負担が増えるだけなのです。
過剰なプロテイン摂取の落とし穴
では、「多すぎても害はないだろう」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、プロテインの過剰摂取には以下のようなリスクがあります
1. 腎臓への負担増加
タンパク質は分解されると窒素化合物が生じ、これを尿として排出する必要があります。
過剰なタンパク質摂取は腎臓の濾過負担を増やします。
健康な腎臓を持つ人では短期的な問題は少ないものの、2019年のカニョン大学の研究では、長期的な高タンパク摂取(体重1kgあたり2.5g以上)は腎機能に悪影響を及ぼす可能性が示唆されています。
特に、既存の腎臓疾患がある人や高齢者は注意が必要です。
2. 栄養バランスの乱れ
プロテインに頼りすぎると、他の重要な栄養素の摂取がおろそかになりがちです。
2017年のハーバード大学の研究では、極端な高タンパク食は、食物繊維やポリフェノールなどの植物性栄養素の摂取不足につながると警告しています。
これらの栄養素は腸内細菌叢の健康や抗酸化作用に重要であり、不足すると長期的な健康リスクになります。
3. 消化器系への負担
高濃度のプロテインは胃腸に負担をかけることがあります。
特に一度に大量のプロテインを摂取すると、消化不良、膨満感、ガスの増加などの症状を引き起こす可能性があります。
また、乳糖を含むホエイプロテインは、乳糖不耐症の人に腹部不快感や下痢を引き起こすことがあります。
4. 体脂肪の増加リスク
忘れがちな事実ですが、プロテインにもカロリーがあります。
タンパク質は1gあたり約4kcalのエネルギーを持っています。
例えば、1日に必要量を超えて50gの余分なプロテインを摂取すると、それだけで200kcalの余剰カロリーとなります。
これが続けば、最終的に体脂肪の増加につながる可能性があります。
2021年のミシガン大学の研究では、必要量を超えるタンパク質は体脂肪として蓄積される傾向があることが示されています。
5. コストのムダ
見落としがちな点ですが、必要以上のプロテイン摂取は経済的なムダでもあります。
良質なプロテインは安くありません。
必要以上に購入し摂取することは、あなたの財布にも負担をかけることになります。
ではどれくらいのタンパク質が適量なのか?
適切なタンパク質の摂取量は、年齢、性別、活動レベル、目標によって異なります。
しかし、一般的なガイドラインとして
トレーニングをしている人の目安
- 一般的な健康維持:体重1kgあたり0.8〜1.0g/日
- 筋力トレーニング(維持目的):体重1kgあたり1.2〜1.4g/日
- 筋力トレーニング(増量目的):体重1kgあたり1.6〜2.2g/日
- 減量中(筋肉維持目的):体重1kgあたり1.8〜2.2g/日
実際の計算例
例えば、体重70kgで筋肉増量を目指している人の場合: 70kg × 1.6〜2.2g = 112〜154g/日
これが1日の目標タンパク質摂取量となります。
プロテインサプリメントの正しい使い方
ここで重要なのは、プロテインサプリメントは「サプリメント(補助)」であるという基本的な事実です。
理想的には、必要なタンパク質の大部分は通常の食事から摂取するべきです。
実際の食事からのタンパク質摂取例
- 鶏胸肉100g = 約23gのタンパク質
- 卵1個 = 約6gのタンパク質
- 木綿豆腐1/3丁 = 約8gのタンパク質
- ギリシャヨーグルト100g = 約10gのタンパク質
- サーモン100g = 約20gのタンパク質
これらの食品から十分なタンパク質を摂取できない場合に、補助としてプロテインサプリメントを活用するのが理想的です。
プロテインサプリメントの理想的な使用タイミング
- トレーニング後:筋肉の回復と合成を促進するため
- タンパク質が不足しがちな朝食時:夜間の分解状態から体を回復させるため
- 食事と食事の間で空腹を感じたとき:筋肉分解を防ぎ、空腹感を抑えるため
プロテイン摂取に関する3つの落とし穴とその対策
落とし穴1 一度に大量摂取
問題点:体は一度に約20〜30gのタンパク質しか筋肉合成に利用できません。2018年のアーヴィン大学の研究では、一度に40g以上のタンパク質を摂取しても、追加の筋肉合成効果はほとんどないことが示されています。
対策:タンパク質摂取を1日の中で均等に分散させましょう。理想的には、1食あたり20〜30gを目安に、1日4〜5回に分けて摂取すると効果的です。
落とし穴2 食事内容の偏り
問題点:プロテインシェイクだけに頼ると、重要な栄養素(ビタミン、ミネラル、食物繊維など)が不足します。
対策:プロテインシェイクはあくまで「補助」と考え、主要なタンパク質源は魚、肉、卵、大豆製品などの実食から摂るようにしましょう。これらの食品は、タンパク質だけでなく、体に必要な様々な栄養素も含んでいます。
落とし穴3:質より量を重視
問題点:すべてのプロテインが同じ品質というわけではありません。安価なプロテインには、添加物や砂糖が多く含まれていることがあります。
対策:プロテインを選ぶ際は、原材料表を確認し、不要な添加物や砂糖が少ないものを選びましょう。また、自分の目的に合ったプロテイン(ホエイ、カゼイン、植物性など)を選ぶことも重要です。
プロテインを超えた筋肉づくりの真実
最後に重要なのは、筋肉づくりはプロテイン摂取だけで決まるものではないということ。
実際には、以下の要素が総合的に影響します
1. 適切なトレーニング刺激
どれだけプロテインを摂っても、筋肉に適切な刺激がなければ成長しません。
漸進的過負荷の原則に従った、計画的なトレーニングが必要です。
2. 十分な回復と睡眠
筋肉の成長は、実はトレーニング中ではなく回復期に起こります。
特に睡眠中に成長ホルモンの分泌が高まり、筋肉の修復と成長が促進されます。
2019年のシカゴ大学の研究では、睡眠不足がタンパク質合成を最大30%低下させる可能性があることが示されています。つまり、プロテインをたくさん摂っても、睡眠が不足していれば効果は大幅に減少します。
3. 総合的な栄養バランス
タンパク質だけでなく、炭水化物や脂質も含めた総合的な栄養バランスが筋肉の成長と維持には不可欠です。
特に
- 炭水化物:トレーニングのエネルギー源となり、タンパク質の分解を防ぐ
- 健康的な脂質:ホルモン生成をサポートし、炎症を抑制する
- ビタミン・ミネラル:様々な代謝プロセスに関与し、回復を助ける
まとめ プロテインとの賢い付き合い方
プロテインは筋肉づくりに重要な栄養素ですが、「飲めば飲むほど効果がある」わけではありません。
適量を守り、食事全体のバランスの中で考えることが重要です。
- 適量を知る:体重に応じた1日の目標量を計算する
- 分散して摂取:1回に20〜30gを目安に、複数回に分ける
- 食事からの摂取を優先:サプリメントはあくまで「補助」
- 総合的なアプローチ:トレーニング、睡眠、総合的な栄養を重視する
過剰なプロテイン摂取に費やすお金と労力を、睡眠の質を高めることや、より計画的なトレーニングに向けた方が、筋肉づくりでより良い結果を得られるかもしれません。
結局のところ、フィットネスの世界には「魔法の弾丸」はなく
バランスの取れたアプローチこそが長期的な成功への鍵です。
「はれのひ」では、お客様一人ひとりに合わせた、科学的根拠に基づいた栄養アドバイスとトレーニング指導を提供しています。
プロテイン摂取を含む食事計画についてのご相談もお気軽にどうぞ。
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